岡電は環状化に公費建設を要望、岡山市議会 | NPO法人 公共の交通ラクダ(RACDA)

岡電は環状化に公費建設を要望、岡山市議会

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昨日の岡山市議会代表質問、非常に画期的な一日となった。
まず田口議員の自民党政隆会の代表質問で路面電車環状化の費用負担についての市長答弁では、「岡電に早急な路線認可申請を求めたところ、完全公有民営しかないとの回答だった」と明かした。田口議員は「駅前乗入れでは岡電が費用負担をするとのことで、市議会でも認めたが、同じ延伸でなぜできないのか」と追求。二度目の追求で市長は「おそらくはコロナで公共交通事業者が危機に陥っているからだろう」と答弁したが、市長も議員も公共交通のコロナ危機については認識が甘いと感じた。
元々岡電の電車の売り上げは5億円あったが、宇野バスの100円運賃の影響で値下げしたので、年間1億円の純利益を失い、岡電はMOMO導入後、全国的にも低床電車の少ない事業者になっている。全く再投資ができなくなっている。まして駅前乗入れの投資、よくぞ現状で引き受けたと思う。市民会館環状線はたった600mの延伸で、9億円で済むとは言え、年商4億円の岡電が3億円も負担できるはずはナイデハないか。すべての経費を抑え、人件費を抑え、利益をしぼりだそうとして出来ず、コロナで3割も落ちたら年間1億円以上の赤字になっているはずだ。
しかも環状線を別系統で走らせるなら、15分に1本でも最低2篇成を入れる必要がある。予備車はほとんどないし、おまけに3億円もする低床電車を2編成入れたら6億円、これを国市の補助で入れても、高額なランニングコストと償却がかかってくるから、負担できるはずは無い。建設負担どころではない。
そこで我々全国路面電車ネットワークでコロナ後の公共交通提言書では、「バリアフリーと学割は公的負担で」と打ち出している。日本の公共交通行政は、世界的に見て、絶対的に公費投入が足りていないのに、小泉政権下でしてはいけない規制緩和をやってしまった、これは大失策であり、地方の疲弊、東京一極集中、少子化の引き金を引いている。だが政治家たちにその自覚が無い。
ちなみに新市民会館に併せての環状化、既に都心の地下はあがり始めており、周辺のマンションは1000戸も増えようとしているとか。岡山都心は全部低床電車バスという空間になれば、子育て世代の岡山都心居住はテレワーク時代にふさわしいものになる。移住定住も促進されるだろう。だから今年ラクダとしては「ベビーカーで乗り放題電車バス」キャンペーンを提案したい。
さて昨日の田中議員の共産党代表質問で「公共交通空白地域20万人のうち、4万人を解決とするだけではダメだ、公共交通支援が足りない」という趣旨の質問に対し、交通公園担当局長は「市民のくらしの質を維持するためにも公共交通手段の確保にしっかりと公費を投入する」と答弁した。この答弁を引き出したのは素晴らしい。
もう随分前に共産党さんから「岡山市の公共交通予算は少なすぎないか」と謂われて、慌てて調べてみて、僕らも愕然とした。特に高齢者補助の政令市比較では、補助実績がないのは岡山くらいのものだった。日本一バス業者の仲が悪い岡山とはいえ、ゼロだもんね。
我々はいま、一般会計の1%を公共交通に投じれば、その地域の公共交通は生き返るとの仮説をもとに、様々な政策提言・ロビー活動を行っている。岡山市の一般会計は3400億円ほどだから、差し当たり30億だが、特にバスについてはほぼゼロだった。それが昨年はコロナ禍の公共交通支援で初めて4億少々を打ち出し、来年度予算では4億円ほどの高齢者補助を初めて打ち出す。路面電車駅前乗入れや県庁通り1車線化などの投資的経費、自転車政策を含めれば、ようやくそこそこの金額になってきた。
だが昨日もふれあいセンター巡回バスの活用提案もあったが、市長は「白ナンバーだろうから、簡単にはいかない」と答弁していた。公共交通とは何も路線バスだけでなく、送迎バスやスクールバスも含めて考えるべき、というスタンスが、岡山市当局には無いのが実情だ。
自動車学校の送迎バスを見習うといい、むしろ路線バスより進んでいたりする。大学と組んで奔らせる「オカキョウ」の送迎バスなんか、交通マーケティングの鑑だね。環太平洋大学から東岡山駅経由でオカキョウでもんな。

岡山駅バス時刻表