2021年 2月
JR西、路面電車が乗り入れる広島駅新駅ビルの広場デザインを発表 2021-0218 鉄道コム
路面電車、単線で結び環状化へ 岡山市 新市民会館周辺の概要発表 新着 2021/2/16 山陽新聞
単線環状化プランがついに登場、9億円とのこと。是非とも市民会館開業に間に合わせてほしいものだ。
RACDA20周年記念誌での図、当時の横山副市長と様々議論したのは、2015年の話だ。
記念誌の文章部分
■表町3丁目新市民会館と路面電車単線環状化
新市民会館の用地が表町3丁目に決定したが、衰退する表町には有効な活性化対策になるだろう。しかし岡山の交通の拠点である岡山駅からのアクセスは不十分で、わかりにくい。新市民会館に統合される現市民会館と小橋の市民文化ホールはともに路面電車電停が近接し、利便性は高い。
そこで現在の路面電車清輝橋線大雲寺から、東山線西大寺町までの約600mを単線でしかも歩道寄りに軌道を敷設すれば、ランドマークとしての新市民会館の価値は格段に向上する。歩道寄りに敷設すれば電停を降りてすぐに市民会館に入れるし、東西の旧2号線への交通渋滞などの影響は最小限にできる。この部分の北側1車線はすでに自転車道として利用されている。
軌道敷設工事は、富山単線環状線940mの工事費は22.3億円だから道路整備・埋設物移転など含めても15億円前後で済むのではないか。将来の岡山都心1kmスクエア環状化構想の一部先行投資とも考えられ、表町南部への投資効果は大きく、都心回遊性向上に決定的効果を持つだろう。
表町南部の千日前には音楽ライブスペースなどが点在している。もともと映画館街として、あるいは木下サーカス発祥の地なのだから、我々は昭和61年に「サーカスランド構想」を打ち出した。音楽や映画、演劇、ゲーム、サブカルチャーなどをテーマにした文化ゾーンを形成するべく、市民会館の運営にも市民参画を進めるべきだろう。
路面電車駅前平面乗入が実現すれば、単線環状化との相乗効果は大きく、城下周辺のカルチャーゾーンとの回遊性も高まる。(イメージ模型→)
吉備線LRT3者協議中断見通し 新型コロナで財政状況が悪化
非公式ではあるが、1999年の1月17日に、RACDAはJR西日本本社の関係者6人と、吉備線LRT化について意見交換をした。この時、岡山電気軌道にも声がけして、いわば仲人をしたわけである。JRは軌道事業の知見がなく、JRと岡電で吉備線LRT化について、お互いの経営数値を出し合って検討した。その成果をJRは富山港線LRT化に生かし、岡電は岐阜路面電車存続に意欲を示し、結果的に和歌山電鉄に繋がった。またMOMO導入などLRT関係諸制度も、吉備線LRT化が牽引したとも言える。
元々この検討は、少子高齢化、また経済のグローバル化の中で、新幹線に支えられたJR赤字ローカル線のリニュアル存続のために、LRT化でコストを下げて、持続可能にするためのものだった。当初JRは吉備線、富山港線、加古川線、境港線などを視野に入れていた。ご存じの通り、富山では富山ライトレールが2006年に開業したが、同時に検討が始まった吉備線は、様々な問題を抱えていた。むしろ採算の良かった吉備線がなぜ難航したか。
富山港線の場合
1.富山港線は、新幹線開通という期限があって、新幹線高架工事のために富山港線の路線の土地を使うという事情があった。
3.新幹線前提で、地域の合意が取りやすかった
6.隣接する高岡の万葉線存続運動と、高岡市などの決断を富山市は見ていた
7.全国的支援活動で、制度面で整備が進んだ
1.吉備線LRT化には期限が無く、三門駅高架事業の陳情取り下げに6年かかり、岡山県は都市計画決定を取り止めるのに、岡山市が政令市になるのに併せた移管でようやく具体化に向かった。
2.吉備線は少しコストを下げれば、JRでも運行可能であり、経営手放す決断には至らなかった、つまり廃止の危機がなかった。
4.現・大森市長登場の8年前までは、一歩一歩の進展で、技術的検討までしかできなかった。総社市長は当初から「岡山市がやるなら、付いていく」と一定の理解を示していたが、財政規模や路線長さでは、岡山市の決断次第であった。
5.岡山市には計画当初でも8つのバス会社があり、新規参入もあって、岡山市もバス問題に随分手間を取られた。また「路面電車化」の言葉が、岡電両備グループを利するのでないかという、財界的事情で反発も起こっていた。
6,吉備線LRT化の仕掛けは、富山ライトレール開業に併せて、2003年から地元9連合町内会で22000もの署名を集めて、RACDAもその仕掛けを行ったが、地元で主体的市民運動は起こらなかった。また総社市では終始傍観者的意見が多かった。実のところ、総社市の人口が増えているのは、岡山市と倉敷市に近く、両線の便数が合計で60便近くあり、吉備線の存在も大きく貢献しているはずだが、総社市民にはその意識はなかった。今後の展開では、総社市のテンション維持が課題となる。さてJR西日本は分割民営化で、本当3社の中では一番赤字ローカル線が多く、しかも上場以後、外国人株主が30%近くにもなる予測のもと、吉備線のLRT化に取り組んできた。だが自分からやるやるというわけにはいかず、あくまで「地元の要望があれば検討する」という姿勢であった。それでも2018年の岡山市・総社市・JR西日本の3社合意は、「岡山市・総社市が保守費用1億円の半分を出す」という、ランニングコストの一部自治体負担という決断は画期的だった。JRが赤字ローカル線の維持に、再投資をするという新しいスキームが出来たと我々は評価していた。廃止が検討された路線では、今までも事例は沢山有るが、吉備線の場合は一度も廃線が検討されたことはなかったのだから。
JR西日本もコロナで新幹線が大打撃となった状況では、とりあえず計画中断はやむを得ないところではある。今回のダイヤ改正では、吉備線はLRT化に向けて、昼間増便して30分ごとのパターンダイヤに取り組んでいただけに、残念だ。だが一方で赤穂線、山陽線でパターンダイヤが崩れるという事態が起こっており、RACDA としては、吉備線が頑張っても、岡山都市圏全体としては、大問題だと各自治体に指摘し、年明けには瀬戸内市、赤磐市、和気町などがJRに対して、減便中止を要望し、岡山市も同行した。
この問題については、富山ライトレールの開業と同時に、高山本線増便実験をした富山市の例が参考になる。7便の増便で富山市は年間4000万円を負担している。もはや現状では、バスと同様にJRの路線便数の維持に、自治体が一部負担する仕組みが必要になっている。岡山市も都市規模からいえば、2億円程度の毎年の負担をJRに対して行うべき時期に来ているだろう。
ところが、関西高校前の交差点処理について、大正時代に作られた軌道法や鉄道事業法などに縛られて、信号処理の為には軌道にしないとできない、と岡山市は主張するのだが、欧米の例などでは、こういう場合はむしろ制度や仕組みを変えて、なるべく安く上げようとするものだ。どうも日本のLRTは「鉄道の改良」という意識が少ない。それは街路事業が道路屋さん事業になっていることが原因だろう。
本来吉備線LRT化は多頻度運行し軽量化して保線コストを下げ、バリアフリー化することがポイント。無理に街路事業にすることはなく、なるべく鉄道のままでいいはず。極端に言えば、三門駅の踏切部分の数十mだけを軌道法にするというウルトラCもありなのではないか。結局国道180号線に軌道を引くという大事業になって金額が膨らみ、用地買収も必要になって、整備期間が10年なんかになっていたから、こういう羽目になる。もっとも毎回街路事業から担当局長を呼ぶように仕向けたのも我々だから、責任は感じる。LRTについては、実は国交省でも窓口は都市局街路交通課であり、続いて道路局路政課、鉄道局の順で、運輸系の陰は薄いが、それは予算規模が反映されている。事情は知り抜いてるので、再構築しようではないか。今岡山市は複雑なバスの問題に取り組んでいるが、吉備線平行の中鉄バス路線は、この間どんどん便数が減って、昨年はとうとう休止になってしまった。本来吉備線LRTてのは、周辺のバス路線の強化をしなければ、十分に機能しないのだから、早く先行してまずはフィーダー輸送の強化に取り組むべきだった。地元市議会議員が何回も何回も、こうした質問をしたが、岡山市もJRもバス会社も全然反応していない。LRTの意味が分かっていないなと謂うのが我々の本音だ。
ともかく、今後RACDAとしてはもう一度、一番事情を知り抜く立場として、事業の再構築に取り組んでいく。
サノコレ(バスのイラスト) (bus-illustration.blogspot.com)
佐野さんの全国バス図鑑です。楽しんでください。
■【 新連載! 】バス路線図データから紐解くバスの乗車方法 #001 皆さんはバスに乗られますか? 新着2021/4/2 データ活用なう
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