公共交通の固定費を削減する公的支援を | NPO法人 公共の交通ラクダ(RACDA)

公共交通の固定費を削減する公的支援を

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令和2年5月22日

新型コロナウイルス感染症の拡大による地域公共交通への影響を小さくするために

一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長  土井 勉

 

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大に対して3密(密閉・密集・密接)の回避、接触機会の8割削減、そして緊急事態宣言などの政策が次々と打ち出されている。

その結果、人々の移動を「束ねて」支える仕組みである地域公共交通は極めて大きな打撃を受けている。これに対して「交通崩壊を防げ!」(https://covid19transit.jp/prevention/)ということで全国の自治体でも様々な支援策が交通事業者や移動困難者を対象として取り組まれつつある。

 

支援策として給付など資金面からのサポートは極めて重要であるが、もう一つ、固定費を下げる仕組みのサポートも重要であると考えられる。

周知のように、地域公共交通の事業構造は固定費が極めて大きい。これを少しでも下げることができれば、資金面からのサポートも一層効果的になると考えられる。

そこで、関西の地域公共交通事業者の人たちからのヒアリングなどから得た、固定費を下げる仕組みについて次の3点について意見を述べることにしたい。

 

1.車庫・営業所等に対する固定資産税の減免

地域公共交通が運行されることで、沿道の地価が維持されている(当然、それだけではないが)ものとするならば、コロナ禍で運行が廃止になれば、沿道周辺の地価の低下が想定される。これは同時に固定資産税も減少することになる。

これを回避し、持続可能性な地域公共交通とするため、固定費を小さくするために、固定資産税の減免を関係する自治体にお願いしたい。

 

2.バス停留所の標柱や停留所上屋の占用料の免除

バスの標柱については道路法第39条による占用物として道路管理者が占用料を受け取る仕組みとなっている(ただし、公営交通は無料)。

京都市では標柱1本で約2,500円/年となっている。京都市交通局のバス停は無料である(他の民営バスは占用料を道路管理者に支払っていたが、現在では京都市管理道路では占用料は無料)。なお国直轄国道は有料のままの状況である。

ここで民営の地域公共交通をインフラと位置づけ、バス停留所の標柱に関して各道路管理者において道路の占用料について減免をお願いしたい。

 

3.地方税としての自動車税、国税・自動車重量税、軽油引取税の減免

自動車税は道府県によって賦課されるもので。71人~80人以下の事業用(乗合)バスの場合は25,500円/年となっている。これはバスを多く抱えている事業者にはそれなりの固定費の支出となる。これについても知事の権限でコロナ禍対策としての減免をお願いしたい。

自動車重量税は15t車で39,000円/年・台。軽油引取税についても減免ができればお願いしたい。

 

なお、1.と3.についてはタクシーも同様とすることが期待される。こうした固定費を下げる支援の金額は必ずしも大きくはないが、各事業者に対して地方自治体が本気で支援をしている、というメッセージにもなる。運行の継続を行うための意欲喚起にもなることが期待される。

 

以上、簡単に述べたが固定費を少しでも減らすことは、地域公共交通の持続的な運行において極めて重要な点である。関係者の皆様に少しでも参考になれば幸甚である。


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