岡山駅前広場の路面電車乗入れ着工 | NPO法人 公共の交通ラクダ(RACDA)

岡山駅前広場の路面電車乗入れ着工

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昭和60年に国鉄のホバークラフト就航運動を契機に、岡山未来デザイン委員会を設立し、昭和62年「交通シンポジウム」を開催し、路面電車環状化や岡南飛行場存続、バス網充実を提案した。これが平成7年のRACDA設立に繋がるが、その頃、岡山市のある幹部が、「岡山のバスに触ると大怪我するよ」と忠告してきた。路面電車の駅前乗入れさえ、平成9年以来26年もかかったのは、この業界事情が背景にあるだろう。
だが、全ての事情を分った上で、「本来公共交通が公的に保障されるべき所を、たまたま国土が細長いために、公共交通が民間で成り立ってしまった日本のガラパゴス」という
日本全国の縮図というべき岡山で、LRTというビッグに仕掛けをやることに意義を感じてやってきた。
日本の交通事業者は、その地域の有力企業で、しかも交通を制する事は、地域の商売を牛耳ることでもあるから、いわば交通事業者は「土豪」なのである。太田恒平氏が奇しくも、岡山のバス業界を戦国時代になぞらえるのは、まさに大当たり。
しかし考えようによっては、それだけ沢山の事業者が生き残っているのは、地域の経済力や文化力を背景にしている現状でもある。地域の底力とも言える。あとはどう政治がこれをコントロールしていくかであって、RACDAのような市民団体は、そのガードレールやガイドラインくらいは示せるということだ。
今回の市議会に合わせて、クリーンモバイル岡山倉敷連星都市圏3を発行したのも、こうした岡山での縮図だけでなく、全国に通じるガイドラインを提示し、日本の公共交通だけでなく、まちづくり、地域課題、そして関連の様々な課題を解決する糸口を示そうとしたものである。
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すったもんだの路面電車岡山駅乗入れ、2回の市長選での争点になりながら、ようやく1/10に着工との市長記者会見があった。1997年5月第3回岡山路面電車サミットの会場で、当時の岡電の岡田常務が「岡山駅前広場に乗入れたい」と表明したのが始まり。サミット主催者であるRACDAも会議直前に知らされた。その頃RACDAは建設省・運輸省(国交省登場以前)にロビー活動を行い、市民団体主催の会議に、前例の無い本省後援をしていただいた。その年「路面電車走行空間改築事業」が創設される。電停改良や交通結節点改良に道路財源が使えるよう、議論が始まり、富山ライトレールや宇都宮ライトレールに繋がる諸制度整備のきっかけになった。
当時、路面電車事業者側(全国路面軌道連絡協議会・事務局広島電鉄)の窓口になっていたのが、現在の宇都宮ライトレール常務の中尾さんで、この頃から二人三脚であちこち駆け巡ることになる。
さてその後、路面電車の駅前乗入れは、豊橋、広島横川、高知(瓦版19号)で実現し、九州新幹線開通では鹿児島、熊本が乗入れた。県外から来た人々にとって、路面電車が駅前に見えれば、まずは一番賑やかな所に確実に連れて入ってくれる。新幹線開業で県外からの観光客を見込めるので、高岡・富山のように駅舎の中まで乗入れている。その後新幹線開業に向けて、福井でも乗入れが実現し、さらに広島で駅舎への乗入れ工事が始まった。
こうした中で、岡山は一人取り残された感はある。(瓦版22号)当時、市議会で「余所がやってうまくいったら、やれば良いが、先にやることはない」と質問した議員がいたのを思い出す。RACDAは路面電車環状化を目指すために設立されたが、たった100mほどの延長の駅前乗入れに、こんなに時間がかかるとは、さすがに予測はできなかった。吉備線のLRT化も2006年の富山ライトレールと同時にスタートしたのだが、とうとう2023年の宇都宮ライトレール開業をネタにして、活動再開するしかない。
2006年RACDAは吉備線沿線地元町内会に呼びかけて、22000余の署名を集めてもらった。そのお陰で岡山市が本格的に吉備線LRT化を
検討開始。その後まずは路面電車駅前乗入れだけでも早く実現したいと、2012年に署名を開始し(瓦版97号)、2013年1月岡山市に13046筆を提出(瓦版122号)。そこから具体的にスタート。だが途中で、「路面電車駅前乗入れよりデッキ」という予期せぬ議論が起こり(瓦版137号、138号)RACDA意見書を提出(瓦版142号)、145号では岡山市が平面乗入れ安を採用と書いてある。146号、148号とデッキ案とのせめぎあいは続き、昨年の市長選に至るまで様々な事が起こった。163号では乗継ぎ拠点整備を訴え、毎年のように駅前広場で路面電車まつりを開催してきた。詳しい推移については、トップページのRACDA瓦版をじっくりお読みいただきたい。
当初も駅前乗入れの直接経費は3億円(単にレールを引くだけ)だったが、岡山市ではタクシー乗り場と送迎乗り場を入れ替え、駅前広場全体をリニュアルする大規模な計画に変更。この時点で路面電車乗入れ部分は10億円ほどだった。具体化すれば、様々な理由で費用が膨らむのは、道路事業すべてであるのは分っていたが、広場全体のリニュアルは欲張りすぎたのかもしれない。避難経路の確保の法解釈の間違いから、工期と費用が大幅に増大するという、晴天の霹靂のような事態に翻弄される。推進した市民団体としても、戸惑いを感じざるをえなかった。結局岡山市は駅前整備費用を圧縮して、今回の着工になった。駅前広場地下には、地方都市としては大きな地下街があるので、乗入れ位置は最小限に済むような位置に考えてあった。(RACDA瓦版3号2004年)
しかしともかく、路面電車駅前乗入れをきっかけに始まった中心市街地活性化の一連の取組みは、岡山都心のイオン立地に繋がり、都心の地価は上昇し、都心の人口はV字回復。(瓦版216号)岡山市全体の固定資産税が40億円程度増収した(550億円ほどの規模)のも、取組みの成果である。全国各地の駅前商店街の衰退に比べて、岡山は健闘しているのではないか。
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 路面電車環状化についても語られているが、道路用地は既に確保されていて、土地の買収は必要ないことを申し添えておく。


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