衆議院議員総選挙各政党アンケート(回答) | NPO法人 公共の交通ラクダ(RACDA)

衆議院議員総選挙各政党アンケート(回答)

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2024年10月18日 回答をとりまとめました。ご協力ありがとうございました。
メール到着順に掲載しました。賛成反対が明記されない場合は【その他】に分類しました。

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1. 地方都市交通のサービスレベル向上

特に三大都市圏以外の中核市以上の都市圏において、鉄道(特にJR)・バスのサービス低下がCOVID-19以降顕著になっている。これらの都市圏にて以下の目的を達成するため、サービスレベルを上げる政策の強化と公的財源の大幅増強が必要である。例えば都市交通政策の中心となるべき都市圏内の鉄道路線のサービスレベルに関して,欧州等で実施されているように自治体が関与できる制度を創設する必要がある。

①渋滞対策・環境負荷低減

②若年層(特に女子)の流出防止・地方活性化

③都市機能と魅力の向上

④ガソリン等燃料価格の高騰による国富流出の防止

【 賛成 】れいわ新選組、国民民主党、日本共産党、日本維新の会、公明党、立憲民主党

【 反対 】
【 その他 】自由民主党

意見・提案(自由回答)

れいわ新選組・自治体が充分に予算を手当てできるように、国による財政支援が必要。

・欧米の公共交通は多くが税金や補助金で運営されている。
日本維新の会 基礎自治体の域内交通については、法規制等の権限と財源を国から地方に移譲し、地方自治体が各々の地域実情に応じて域内交通を最適化する取組を加速させるべきと考える。例えばライドシェアの解禁など地域に合わせた規制緩和を組み合わせて、交通弱者の「生活の足」確保や都市の魅力化を推進することが重要と考える。

公明党 みどりの窓口の数の減少や無人駅の数の増加等によるサービスの低下は認識しており、サービス向上のための政策強化は必要であると考えます。
自由民主党 列車のダイヤ設定や利用者の利便性に関しては、鉄道事業者が、輸送実態や現場の利用者のニーズを踏まえて判断することが適切であると考えています。

他方、鉄道が公共交通機関の一つとして大きな役割を担っていることに鑑み、国から鉄道事業者に対し、安全で安定的な運行を確保しつつ、需要に応じた運行ダイヤの設定や利用者の利便に配慮するよう働きかけているところです。

立憲民主党 地域公共交通の持続可能性を高め、移動の権利を保障するとともに、交通従事者を支援し、人と環境負荷軽減を重視したモビリティを目指します。

 

2. 運転手不足対策

廃止・減便を食い止めるため、公共性が高く国家資格が求められることが多い交通系労働者をエッセンシャルワーカーと位置づけた上で、給与・待遇向上のための財源を政府・自治体は確保する必要がある。例えば、運転士等の資格を持つものの最低賃金を高く設定し、一般の最低賃金との差額を公的負担する。もしくは自治体が運転士を公務員として雇い、その賃金を交付税措置の対象とする。

【 賛成 】れいわ新選組、日本共産党

【 反対 】日本維新の会、公明党、立憲民主党

【 その他 】国民民主党、自由民主党

意見・提案(自由回答)

れいわ新選組 公共交通そのものの再公営化、公営化は存続のための重要な選択肢ですが、運転士を公務員として雇うという選択肢も検討に値します。
国民民主党 公共交通は、地域住民の自立した日常生活の確保、地域間の交流の促進、環境負荷低減など、社会政策・環境政策などの側面も持ち合わせていることから、採算重視や民間任せではなく、国が責任を持って「公共交通ネットワーク計画」を策定し、国土の健全な発展をめざします。

日本維新の会 不採算路線等を補助金で延命することは本来のイノベーションを阻害する上に税支出の拡大につながり、他の福祉政策を圧迫する。無人運転の早期実装やライドシェアの解禁など、地域住民のペインを捉えた上で採算事業化できるようイノベーションの加速を支援することが、真の高福祉社会につながる。

公明党 交通系労働者をエッセンシャルワーカーと位置付けることや人材確保・人材育成のための予算確保には賛成です。

自由民主党 鉄道は公共交通機関の一つとして大きな役割を担っており、その担い手である「鉄道運転従業者」の賃金上昇が適切に図られる環境の整備が重要であると考えています。

国においては、賃金上昇を適切に運賃に反映できるよう、鉄道運賃水準の算定根拠となる「総括原価」の算定方法の見直しを行ったところです。

また、人手不足に対応するため、鉄道事業者によるデジタル技術を活用した効率化・省力化の取組みに対して支援を行っていきます。

立憲民主党 単に公務員を増やすことでの解決には消極的な立場を取りますが、自動車整備士やバス・トラック運転手など、深刻な人手不足が生じている現場人材の確保に向けて、若者や女性等が魅力を感じる職種となるよう、働き方の見直しや働く環境、労働条件の改善などを着実に推進していきます。

 

3. 通学定期割引の行政負担

高校生等の通学にかかる運賃負担は子育て世代の家計を圧迫すると共に、定期券の割引分を事業者が負担しているため収支も大きく圧迫している。通学の定期券等の運賃については低廉にした上で、割引分については事業者ではなく、交通予算・文教予算・交付税措置等により、行政が負担すべきである。

【 賛成 】れいわ新選組、国民民主党、日本共産党、立憲民主党

【 反対 】公明党

【どちらともいえない】日本維新の会

【 その他 】自由民主党

意見・提案(自由回答)

れいわ新選組 文科省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、1年間の通学費はそれぞれ小・中・高(全日制)で公立が1,125円、7,245円、52,283円、私立が42,710円、84,233円、81,093円となっています。「児童がいる世帯」の年間総所得が745.9万円(厚労省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」)であることを考えるときわめて重い負担です。公的資金を投入して抜本的に負担を軽減すべきです。

日本維新の会 我が党は「子育ての無償化」の観点から、子どものために使われる大規模な財源を確保することを目指し、GDPの一定割合を必ず子どものために配分するべきと考えている。一方で、通学定期割引の行政負担も選択肢の一つであるものの、どの様な支援がもっとも住民ニーズに合致するのかは住民に近い基礎自治体において地域ごとに決定されるべきである。
自由民主党 自治体と地域の交通事業者が連携し、高校生等に安価で安全な通学手段が提供されることは、交通政策上の重要課題であると考えます。既に一部の自治体では、路線バス事業者に補助金を交付したり、大学生や高校生の通学費用を助成したりする動きも見られますが、学校の立地を含む通学事情は地域によって異なります。行政の貢献の在り方を一律に定めることは、必ずしも適切ではないと考えます。
立憲民主党 誰もが安心して子育てができるよう、社会全体で切れ目ない子育て支援を行います。生まれ育った環境にかかわらず、誰もが同じスタートラインに立てる社会とするため、子育て世帯の経済的負担の軽減が必要です。

高校生等の定期券の割引は、子育て世帯の負担軽減に重要な役割を果たしており、その負担軽減に必要な財源の在り方については、国、自治体、事業者等が検討していくべき課題であると認識しています。

 

4. 公共交通のデータ整備・公開

公共交通の利用促進・事業の透明性確保・政策の精緻化のため、欧米に比べ極端に遅れている、時刻表等のサービス情報や利用者数・収支等の輸送実績について、迅速なデータ整備・公開を義務付ける制度を創設するべきである。<参考>鉄道のデータはオープンデータ化されておらず、鉄道統計年報は公開までに2年程度を要し、JR線などは線別や駅間別ではなく、会社単位のデータしか公開されていない。

【 賛成 】れいわ新選組、日本共産党、日本維新の会、公明党、立憲民主党

【 反対 】

【 その他 】国民民主党、自由民主党

意見・提案(自由回答)

国民民主党 公共交通データの整備、公開については、鉄道事業者や行政も含めた関係者間で現状の課題や今後の対応、進め方等を調整・整理した上で、合意形成を図りながら、取り組みを進めていくことが重要と考えます。
日本共産党 この間、鉄道会社が赤字ローカル線の廃止方針を打ち出す際、当該区間での赤字分のみの情報を開示し、全体の収支を公開しない対応をしているなど、収支等の輸送実績についての情報公開を恣意的に運用している例もあり、趣旨に賛同します。

日本維新の会 公共性の高いデータについては、「オープン・バイ・デフォルト」の理念の下、特段の理由のない限り公開し、自治体や企業、研究機関などが共有し活用することで、より快適で効率的な社会を構築していくべきと考える。

公明党 鉄道統計年報等のデータはオープン化されているものの、公開までに時間を要するという点について改善の余地があると考えます。

自由民主党 オープンデータの取組に関しては、JR東日本が公共交通オープンデータチャレンジ2024 において時刻表や列車の運行情報の提供を行うなど様々な取組みが行われていると承知しています。

また、各鉄道事業者の輸送人員や旅客運輸収入等が記載された「鉄道統計年報」は、電子データにより一般に公開され、そのデータの商用使用は制限されていないものと承知しています。
立憲民主党 個人情報保護とセキュリティを十分に確保し、国民の利便性の向上に資するデジタル化を目指すべきです。公共交通のデータ整備・公開については、利用者の利便性の向上、日本の公共交通の発展等の観点から、事業者の負担等を十分踏まえた上で、国、自治体、事業者等が検討していくべき課題であると認識しています。

 

5. 公共交通における「独立採算制」の見直し

日本の公共交通は広範囲な外部経済効果を持つにもかかわらず、「独立採算」が原則である事によって、地方のサービスレベルは向上せず長期的な利用者離れにつながっている.世界の多くの国では,行政の責任の下でサービスレベルの向上を図っており,利用者が大幅に増加している国も少なくない.わが国も,公共交通は「公共サービス」であると考えて,行政の責任の下で、投資・公費投入する仕組みに変える必要がある。

例:欧州のPSO・運輸連合に準じた制度等

【 賛成 】れいわ新選組、日本共産党、日本維新の会、公明党、立憲民主党

【 反対 】

【 その他 】国民民主党、自由民主党

意見・提案(自由回答)

れいわ新選組・交通サービスには「市場の失敗」が伴うとして、欧州諸国を参考に、日本においても、公共サービス義務(Public Service Obligation: PSO)制度等を導入するべき。

・欧米の事例を見ても、鉄道やバス等の公共交通は、通常の営業利益としては長期的に持続不可能な場合が多く、世界的には、公共交通が政府による何らかの公的介入を必要とすることが共通認識。

以上のような有識者の意見に我々も賛同します。

・また、高齢化に伴い、公共交通機関のバリアフリー化が必須ですが、都市部に比べ地方での低床バス・リフト付きバスの導入、駅舎のバリアフリー化が遅れています。公共サービスとして誰でも安全・快適に利用できるために、国の責任でバリアフリー化を進めるべきです。

国民民主党 公共交通は、地域住民の自立した日常生活の確保、地域間の交流の促進、環境負荷低減など、社会政策・環境政策などの側面も持ち合わせていることから、採算重視や民間任せではなく、国が責任を持って「公共交通ネットワーク計画」を策定し、国土の健全な発展をめざします。

日本維新の会 基礎自治体の域内交通については、法規制等の権限と財源を国から地方に移譲し、地方自治体が各々の地域実情に応じて域内交通を最適化する取組を加速させるべきと考える。また、現在の制度下でも鉄道路線等の公共交通機関の敷設に国費や地元自治体負担金が投入されている。

公明党 「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律」が2020年に施行され、乗合バス事業者が国土交通大臣の認可を受けたうえで共同経営が可能となり、熊本市等において実施されていると認識しています。

自由民主党 我が国の鉄道事業については、基本的には民間事業者が営利事業として営んでいますが、鉄道施設の安全確保や地域住民の交通手段の確保、利用者の利便性向上等は重要と考えており、これらのための支援制度等を設けています。

立憲民主党 地域公共交通の再生に向けては、自治体の責任や役割が増すことから、地域の移動手段確保のために必要な財政措置を強化し、公共交通への支出が他部門(健康・福祉・教育・環境等)の課題と密接に結び付き利益をもたらしたり、他部門の費用の支出を抑えたりする「クロスセクター効果」を実現します。まちづくりと公共交通の確立を一体的に推進するため、自治体への交通専門部署の設置、交通政策専任者の配置・育成を進めます。

 

6. その他、交通政策に関し、貴党における考え方など、ご自由にお書きください。

れいわ新選組 公共交通のインフラについては、「赤字だから撤退」ではなく、その公共性にかんがみ、国の財政支援の強化により、住民にとって不可欠な移動手段を守っていくことが大事であると考えます。

国民民主党 完全自動運転EVの巡回バス・乗用車の実用化し、及び地域公共交通システムを構築するスタートアップ企業を優遇します。交通事故の削減、高齢者等の移動支援や渋滞の解消などに資する自動運転の実現に向けて、特定条件下における完全自動運転(レベル4)を可能な限り早期に実現します。その実現に向けた道路の高度化と安全な交通社会の推進に取り組みます。

降雨のパターンが変化している中、道路や河川(水門インフラ等)、港湾、鉄道等の復旧については、確実にこれを行い、被災時には単に元に戻す原形復旧を行うだけでなく、事前防災や再度災害防止の観点を入れたものとします。また、道路などについて新たなミッシングリンク(寸断)が生じることがないようにします。とりわけ、近年多発する河川の氾濫に対処するため、重点的に河床掘削や河道掘削、しゅんせつを行います。また、鉄道等の復旧についても、公共交通の一翼を担っていることに鑑み、民間任せではなく、国の災害復旧事業としてしっかりと後押しをします。

公共交通は、地域住民の自立した日常生活の確保、地域間の交流の促進、環境負荷低減など、社会政策・環境政策などの側面も持ち合わせていることから、採算重視や民間任せではなく、国が責任を持って「公共交通ネットワーク計画」を策定し、国土の健全な発展をめざします。

「公共交通確保法案」を制定し、地方では「公共交通確保条例」を制定します。地域ごとに、鉄道等どのような公共交通手段が確保されているかをしっかり調査し、公共交通弱者をなくします。

低料金でドアツードアの乗合タクシー(デマンドタクシー)、コミュニティバスなどを、国の基準の見直しや予算措置で、強力に支援します。タクシーのない地域では住民委託制度を創設します。また、免許を返納した高齢者も活用できるように地域タクシーの補助を進めます。

通学時の子どもの安全確保

「児童通学安全確保法」を制定し、児童の通学中における安全の確保に関する基本指針等を定め、児童通学交通安全区域における交通の規制や道路の整備など対策を進めます。国が責任を持って体制を整備し、通学路などでの子どもの安全を守ります。

国会議員JRパスの悪用を防止するため、写真付にするとともにICカード化します。

日本共産党 【わが党の公共交通政策は、ホームページの「2022参議院選挙政策」の「41、交通・運輸」をご覧ください。2024総選挙政策にも、総選挙各分野の政策に掲載予定です。】

日本維新の会 我が党は、財やサービスの所有から利用への転換を見越し、ライドシェアなどの障壁となる規制を撤廃し、シェアリングエコノミーを強力に推進します。また、ライドシェアを含む複数の交通サービスをITで統合し、一括して予約・決済する仕組みを導入するなど、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を強力に推進すべきと考えます。不採算路線や人手不足の課題を、補助金ではなくテクノロジーの進化と積極的な社会実装によって解決していくことが、豊かな社会の実現につながると考えております

公明党 地域公共交通は、地域住民の「移動の足」であり、住民・利用者目線に立って再構築を図るとともに、利便性を向上させ、地域活性化につなげていくべきと考えます。

そのためにも、まずは公共交通機関における担い手不足への対応が急務であると認識しています。事業者の賃上げや働き方改革などを推進し、若者や女性、外国人材を含め、担い手の確保を進めていきます。

また、キャッシュレス化等のDX化とともに、自動運転やMaasなど交通分野におけるデジタル技術の導入を強力に推進します。

さらに、地域の多様な関係者による連携・協働を促進し、地域公共交通計画のアップデートを進めるため、関係府省庁による支援を促進すべきと考えます。

自由民主党 路面電車をはじめとした地域交通は、地方創生の基盤です。地域交通の「リ・デザイン(再構築)」を全面展開し、地域活性化につなげていきます。

立憲民主党 立憲民主党は、交通まちづくり政策を検討します。人口減少、高齢化、地球温暖化などの諸問題に対して持続可能なまちづくりを支えるための観点が必要です。そのため、環境負荷の少ないコンパクトシティの形成など、まちづくりと交通を一体的に考え、誰もが安全に安心して移動できる環境の構築や脱炭素社会の実現に向け、公共交通を軸とした総合交通体系の見直しや計画立案を図ります。


岡山駅バス時刻表